教育基本法には、第十七条として『教育振興基本計画』の条文が記載されています。これは自治体によって異なる施策です。
教育振興基本計画
教育基本法の第十七条には、以下のような条文が示されています。
第十七条
政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。
このように『教育振興基本計画』は、『教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項についての基本的な計画』のことです。政府はこれを国会に報告し公表しなければなりません。また地方公共団体も、教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければなりません。
第3期教育振興基本計画
現在の政府が公表している教育振興基本計画は第3期のもので、対象期間は2018年度~2022年度までのものです。
第3期の計画では、人生100年時代、超スマート社会(Society 5.0)の到来という2030年以降の社会の変化を見据えた教育政策の在り方を示したものと覚えておきましょう。
2022年度までのものなので、試験内容として取り上げられにくいとは思いますが、これをもとに自治体ごとに作成されたものには、2022年度以降に関わるものがありますので、ぜひ受験自治体のものには目を通しておいてください。
第4期教育振興基本計画について
第4期教育振興基本計画は、2023年度~2027年度に当たりますが、これについての諮問の概要は、令和4年2月に提示されました。
「変革を起こすコンピテンシー」、新たな価値を創造していく力
・幼児教育・義務教育の基礎の上に、高等学校、さらには大学、高等専門学校、 専門学校、大学院まで
が、より一層の連続性・一貫性の中で有機的につながりを持つとともに、これらが産業界や国際社会
も含めた幅広い社会のニーズに応えるものとなること
・絶えず変化する予測困難な社会における人材移動を支える社会人の学び直し(リカレント教育)
・全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指し、
その実現に向けた社会的包摂を推進
超スマート社会(Society 5.0)に対応し、幼児教育・義務教育から高等学校、大学、高等専門学校、専門学校、大学院まで全体が連続性・一貫性を持ち、社会のニーズに応えるものとなるよう、教育や学習の在り方も大きく変容が求められる状況。「デジタル」と「リアル」の最適な組合せの観点から、コロナ後の教育や学習の在り方について検討することが必要。
共生社会を実現していく上で、学習者の背景や特性・意欲の多様性を前提として、学習者視点に立ち、誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学ぶことができ、誰一人取り残されず、一人一人の可能性が最大限に引き出され、一人一人の多様な幸せであるとともに社会全体の幸せでもある。
ウェルビーイングが実現されるように制度等の在り方を考えていく必要。
(文科省HPより引用)
第3期の基本的な方針
第3期の基本的方針は以下の通りです。
1 夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する
2 社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成する
3 生涯学び、活躍できる環境を整える
4 誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する
5 教育政策推進のための基盤を整備する
受験自治体の教育振興基本計画
政府の教育振興基本計画の第3期は2018~2022年度までのものです。
そしてこの第3期教育振興基本計画をもとに作成されたものに、
横浜市では『横浜市教育振興基本計画』2018~2022年度まで
東京都では『東京都教育ビジョン第4次』2019~2023年度まで、
そして大阪市では、『大阪市教育振興基本計画2022年度~2025年度』が公表されています。
大阪市の教育振興基本計画は、出題されやすいと思うので要注意です。
まとめ
いくつかの自治体の教育振興基本計画を読んでみましたが、やはり確認すべきポイントは『学習指導要領』であると感じました。
学習指導要領には、学校教育における教育課程作成の基盤となる事項がすべて記載されています。繰り返し読んでおくとよいでしょう。