令和4年8月25日、文科省の報道発表で『小学校キャリア教育の手引き』が改訂されたいう記載がありました。
キャリア教育とは
『小学校キャリア教育の手引き』についてお話しする前に、まずは『キャリア教育』とは何か、ということについてお話します。
キャリア教育とは、
一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育のこと。
そして、キャリア発達とは、
キャリア発達とは、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程のこと。
※枠内はどちらも中教審:『今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について』より引用
キャリア教育の大切さについて
改訂された『小学校キャリア教育の手引き』の中に、次のような文章がある。
人は,他者や社会との関わりの中で,職業人,家庭人,地域社会の一員等,様々な役割を担いながら生きている。これらの役割は,生涯という時間的な流れの中で変化しつつ積み重なり,つながっていくものである。また,このような役割の中には,所属する集団や組織から与えられたものや日常生活の中で特に意識せず習慣的に行っているものもあるが,人はこれらを含めた様々な役割の関係や価値を自ら判断し,取捨選択や創造を重ねながら取り組んでいる。
人は,このような自分の役割を果たして活動すること,つまり「働くこと」を通して,人や社会に関わることになり,その関わり方の違いが「自分らしい生き方」となっていくものである。
このように,人が,生涯の中で様々な役割を果たす過程で,自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ねが,「キャリア」の意味するところである。このキャリアは,ある年齢に達すると自然に獲得されるものではなく,子ども・若者の発達の段階や発達課題の達成と深く関わりながら段階を追って発達していくものである。また,その発達を促すには,外部からの組織的・体系的な働きかけが不可欠であり,学校教育では,社会人・職業人として自
立していくために必要な基盤となる能力や態度を育成することを通じて,一人一人の発達を促していくことが必要である。
(※文科省:『小学校キャリア教育の手引き』より引用)
キャリア教育の意義と効果
さらに、『小学校キャリア教育の手引き』によると、平成23年1月31日,中央教育審議会は「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」において、
キャリア教育の意義と効果を次のように記している。
- キャリア教育は,一人一人のキャリア発達や個人としての自立を促す視点から,学校教育を構成していくための理念と方向性を示すものである。各学校がこの視点に立って教育の在り方を幅広く見直すことにより,教職員に教育の理念と進むべき方向が共有されるとともに,教育課程の改善が促進される。
- キャリア教育は,将来,社会人・職業人として自立していくために発達させるべき能力や態度があるという前提にたって,各学校段階で取り組むべき発達課題を明らかにし,日々の教育活動を通して達成させることを目指すものである。このような視点に立って教育活動を展開することにより,学校教育
が目指す全人的成長・発達を促すことができる。 - キャリア教育を実践し,学校生活と社会生活や職業生活を結び,関連付け,将来の夢と学業を結びつけることにより,生徒・学生等の学習意欲を喚起することの大切さが確認できる。このような取組を進めることを通じて,学校教育が抱える様々な課題への対処に活路を開くことにもつながるものと考えられる。
まとめ
私たちは、生きていく上で、働く時間はとても長い時間を費やすことになりますね。どのような職業につくか、働くことについてどう考えるのかなどを考えることは,どのように生きていくかを考えることにもつながります。そのように捉えると、キャリア教育をもっとていねいに扱い、学校教育でなにができるのかを、教師自身が考えることがとても大切だと感じました。
みなさんも、ぜひじっくりと目を通してみてください。