教育時事問題の中から今回は、「いじめ防止対策推進法」についてお話ししていきます。
この法律は、2013年6月に制定された初めての「いじめ防止」に関する法律です。
いじめ防止対策推進法とは
いじめ防止対策推進法は、以下の目次に示されている通り、「総則」「いじめ防止基本方針等」「基本的施策」「いじめ防止等に関する措置」「重大事態への対処」「雑則」の六章で構成されています。
目次
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 いじめ防止基本方針等(第十一条―第十四条)
第三章 基本的施策(第十五条―第二十一条)
第四章 いじめの防止等に関する措置(第二十二条―第二十七条)
第五章 重大事態への対処(第二十八条―第三十三条)
第六章 雑則(第三十四条・第三十五条)
いじめ防止対策推進法の目的は?
いじめ防止対策推進法の目的は、第1条にこのように示されています。
(目的)
第一条 この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにし、並びにいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。
文科省ホームページより引用
この条文に記されているように、この法律の目的は、『児童等の尊厳を保持するため』に、
- 基本理念を定め
- 国及び地方公共団体等の責務を明らかにし
- いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定め
- いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定め
- いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進すること
が目的となっています。
児童等の尊厳を保持するため
ということが大切ですね。
いじめを定義している
この法律では第二条において、いじめの定義をしています。
この定義は、教採の一次試験でも出題されることが多いものですが、面接などで、いじめについての考えを問われたときにも、この定義をもとにして、具体例などを話すことができるとよいと思います。
それでは、その定義をみてみましょう。
(定義)
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
児童等に対して、一定の人的関係にある他の児童等が行う、心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを含む。)で、対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものを『いじめ』というと定義しています。
いじめの定義を簡単に覚える
いじめの定義では、対象となった児童等、つまり本人が心身の苦痛を感じているということが重要です。ネットも含め心理的、物理的に影響を与えて、心身の苦痛を感じさせてしまう。それがいじめだと覚えておきましょう。
そして、ここでいう「児童」は、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)に在籍する児童・生徒のことです。
まとめ
いじめ防止対策推進法は、はじめての『いじめ防止』の法律です。
第四条には、『いじめの禁止』として、児童等は、いじめを行ってはならない。という条文もあります。この条文を知っているということも大切なこと。子どもたちに『いじめ』は絶対にしてはならないこととを伝えるときにも、倫理観だけれはなく、法的な根拠としても教えることができます。もちろん、いじめの定義も相手が嫌だと感じることは、いじめなんだと教えることができますね。
とても大切な法律です。
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